専門研修先を探し始めた時期ときっかけを教えてください
焦りが限界に達した2年目の夏。専門研修先が見つからない不安
「そろそろ考えなければ」という思いは、初期研修1年目から頭の片隅にありました。しかし、日々の初期研修に必死で、具体的な行動を起こせないまま気が付けば2年目。時間だけ過ぎていく状況でした。
ふと気づけば、周囲の同期たちは3年目以降の進路を次々と決め始めています。「どこのプログラムにしたの」「入局予定かな」「もういくつか見学に行った」という会話を耳にするたび、自分だけが取り残されていくような焦りが募っていきました。
結局、本格的に総合診療の専門研修先を探し始めたのは、初期研修2年目の7月中旬。まさにギリギリのスタートといえます。
「地域の患者さんから一番に頼られる存在へ」東北への思いと医学部再受験
私は東北地方の出身で、高校卒業までを地元で過ごしました。大学は、一度は関東の理系学部に進学したものの、将来を真剣に見つめ直すうちに「やはり医師になりたい」という思いが抑えきれなくなり、仮面浪人を経て翌年に医学部へ入り直す道を選びました。
医師を志した当初から、「将来は地元・東北へ戻る」という目標は一貫して持っていました。そんな医師になるには、「どこに相談すればいいかわからない」と悩む患者さんを包括的に受け止められるだけの広い診療力が必要です。
私にとって、その理想に一番近かったのが、総合診療という領域でした。それが、総合診療医を目指す理由です。
「総合診療医の土台」をつくるため関東を離れ、あえて九州の市中病院へ。
医学部卒業後、私は関東を離れ、九州地方の市中病院を初期研修先に選びました。地域よりも、どこなら一番鍛えられるかを優先したからです。
その初期研修先に残り、総合診療の専門研修を受ける道も探りましたが、専門研修プログラムがなくて断念しました。
一方、関東は病院数が多く、特色の異なる総合診療専門研修プログラムもそろっています。大学時代を過ごして土地勘があったことに加え、「若いうちに、総合病院で内科領域をはじめ、複数の専門診療科と連携しながらさまざまな症例を経験したい」という思いもあり、専門研修先は関東で探すことにしました。
将来は地元・東北へ戻りたい。その目標があったからこそ、今すぐ地域の小規模な医療機関へ進むのではなく、まずは総合病院で幅広い症例を経験し、総合診療医としての土台をしっかり築く時期だと考えたのです。
メックステーションを選んだきっかけを教えてください
立ちはだかる「距離の壁」。Webの情報だけでは現場のリアルが全く見えない
関東の専門研修プログラムを探し始めると、すぐに情報収集の壁にぶつかりました。当時は九州にいたため、関東の総合診療の専門研修事情を詳しく聞ける先輩や同期が身近にいませんでした。また、総合診療は専門医制度としての歴史がまだ浅いため、他の診療領域と比べても、先輩専攻医の体験談や過去の研修実績といった情報が十分には見つかりませんでした。
有名な先生がいる病院や大規模病院なら、Webでプログラムの概要だけはわかります。しかし、実際に何人の専攻医がいるのか、連携施設でどんな研修をしているのか、自分に合う指導環境なのかまでは見えてきません。
私が知りたかったのは、「実際の指導体制はどうなのか」「専攻医はどこまで主体的に動けるのか」「現場の先生方はどんな熱量を持っているのか」といった、Webには出てこない情報でした。
孤独な情報収集の限界。プロの力を借りる
さらに、初期研修はハードだったので、気になる専門研修があっても、関東まで頻繁に見学へ行くことは、時間、費用、体力の面で不可能でした。「すでに初期研修2年目の7月。限られた時間で、確実に自分に合うプログラムを見つけたい」。八方塞がりになりかけていたとき、インターネットでメックステーションの専攻医インタビュー記事を見つけました。
「自分一人で闇雲に探すより、関東の事情に詳しいプロに相談しよう」。そう決意し、初期研修2年目の7月中旬、メックステーションへの登録に踏み切りました。
メックステーションのキャリア相談を利用しましたか
「探しているのは、このようなプログラムですよね」希望を言語化してくれた
登録後すぐに、メックステーションのコンサルタントとキャリア相談をしました。
私が伝えたのは、
「将来、地元に戻って幅広く患者さんを診るために、今は症例数の多い総合病院で鍛えたい」
「関東で、内科全般をしっかり経験できる総合診療のプログラムを探したい」
という希望です。
それを聞いたコンサルタントは、私の考えをこう整理してくれました。
「総合診療といっても、診療所や小規模病院を中心に回るプログラムもあれば、各科がそろった総合病院を軸に幅広く経験するプログラムもあります。先生が探しているのは、後者の『まず総合病院でしっかり土台をつくる』タイプですね」
私は、自分で専門研修先を探すとき、「総合診療のプログラム」という大きなくくりで探していました。しかし、それだけでは不十分だとわかったのです。その言葉であらためて、「地元へ戻る前に、まず総合病院で内科領域をはじめとする幅広い臨床力を身につけたい。その軸で専門研修を探そう」と再確認できました。
Webでは見えない専門研修の“中身”と“実情”
さらに印象的だったのが、総合診療の専門研修プログラムの“中身”についての話です。
コンサルタントからは、募集要項だけでは全貌が見えない専門研修プログラムの実情についても教えてもらいました。
「総合診療の専門研修は、期間が一律ではないのです。3年のところもあれば、4年間のところもあります。途中から他県の病院や診療所などの連携施設で長期間研修するプログラムもあるので、年数だけではなく、どこで何を経験するのかまで見ておきましょう」と言ってくれました。
さらに、「先輩の専攻医が少ないプログラムでは、比較的自由度が高く、自分の希望を研修内容に反映しやすい場合もあります。ただ、実際の指導体制がどこまで整っているのかは、外からではわかりにくいこともあります。先生の場合は、『実際に専攻医がいるのか』『基幹病院で何を経験できるのか』『誰から、どんなスタイルで教わるのか』まで見て選んだほうがいいと思います」
その言葉で、専門研修先を比較するときに、何を確認すべきなのかがより明確になりました。
「九州から全部は見に行けない」厳選した3つの候補
キャリア相談では、その軸をもとに具体的な候補も整理してもらいました。
一つは、私も以前から知っていたA病院。もう一つは、メックステーションから直接担当医につないでもらえるB病院。そして、大規模な環境で幅広い症例を経験できるC病院です。
いずれも私の希望する方向性には合っていましたが、病院規模も研修期間も、教育のスタイルも異なります。
「九州から3つのプログラムを全て見学するのは現実的ではありません。まず中身を比較して、実際に見に行くところを絞ったほうがいいですね」
そう提案してもらい、まずは3つのプログラムを詳しく比べることになりました。
候補となった専門研修プログラムはいかがでしたか
同じ「総合診療」でも、規模も年数も研修の組み方も違った
候補となった3つの総合診療専門研修プログラムを比べると、中身にはかなり違いがありました。
候補①:都内南部・300床台の中規模総合病院A
A病院は、総合診療の研修先として以前から名前を知っていました。担当コンサルタントからも、「総合診療では有名な病院ですし、教育体制はかなり手厚いです。ほかと比較する意味でも、一度見ておくといいと思います」と勧められました。
3施設のなかでは唯一の4年間のプログラムです。総合診療専門研修Ⅰでは、地域の診療所や中小病院などの連携施設でも研修します。
カンファレンスや上級医からのフィードバックも充実しており、時間をかけて体系的に総合診療を学べる環境に見えました。
候補②:都内北部・500床台の急性期総合病院B
B病院は、500床台の急性期総合病院です。研修期間は3年間。総合診療に加えて、内科や救急など幅広い症例を経験しながら専門医取得を目指します。期間中には連携施設で研修する時期もあります。
担当コンサルタントから聞いていたのは、毎年総合診療専攻医を受け入れており、豊富な症例を経験できることでした。また、専攻医自身が1年目から主体的に診療へ関わり、まず自分で考えて動いたうえで、必要な場面では上級医に相談しながら経験を積んでいく研修スタイルだと聞きました。
候補③:東京近郊・700床超の大規模総合病院C
C病院は東京近郊にある700床を超える大規模総合病院です。
こちらも研修期間は3年間。
多数の診療科がそろっており、総合診療だけでなく、内科や救急、各専門科と連携しながら幅広い症例を経験できることが大きな特徴でした。
病院規模や症例の幅という点では、3施設のなかでも非常に魅力的な候補でした。
ただ、当時の私は九州で初期研修中です。3つすべてを見学するには、そのたびに勤務を調整し、九州と関東を往復しなければなりません。
そこで、研修年数やローテーション、病院規模、教育体制を比較したうえで、実際に現地で確かめるのはA病院とB病院の2つに絞りました。
応募から専門研修先決定までのサポートはいかがでしたか
忙しい初期研修の合間を縫って日程調整をサポート
候補を絞ったあと、まず具体的に動き始めたのがB病院でした。担当コンサルタントから、「九州からいきなり見学に行くのは負担も大きいので、まず総合診療の担当の先生とオンラインで話してみましょう。先生の勤務に合わせてこちらで調整します」
と提案してもらいました。面談日は8月上旬に設定。病院側とのやり取りや日程調整は担当コンサルタントが間に入って進めてくれました。
事前に面談や選考のポイントを共有してくれた
事前に面談や選考で確認されやすいポイントも教えてもらいました。
ほかの候補についても、小論文の有無など選考内容をあらかじめ共有してもらえたので、何もわからないまま臨む不安はかなり減りました。
オンライン面談では、プログラムの指導担当の先生から直接話を聞くことができて、「自分の目であらためて見たい」と思うようになりました。
その後も、勤務との兼ね合いを調整しつつ、8月下旬にはB病院を現地見学。並行してA病院も現地見学をお願いしました。
現地で見学してわかったA病院とB病院のそれぞれの魅力
事前に条件を比較していた段階では、A病院もB病院も魅力的でした。
コンサルタントからは、「条件だけなら、どちらも先生の希望には合うと思います。最後は、実際に指導医や先輩専攻医と話して、雰囲気や研修スタイルが自分に合うかを見たほうがいいですよ」と言われていました。
実際に見学すると、その言葉の意味がよくわかりました。A病院は、カンファレンスやフィードバックなど教育の仕組みが整い、上級医の指導を受けながら体系的に学べる環境です。
一方のB病院は、豊富な症例のなかでまず自分で考えて動き、必要な場面で上級医に相談しながら経験を積んでいくスタイルでした。
実際に見学して、「自分は、手厚く教えてもらうより、自分から症例を取りにいく環境のほうが合っているのかもしれない」と感じ、次第にB病院の研修スタイルに惹かれていきました。
その後、10月にはB病院の院長との面談も設定してもらい、専門研修先の決定に向けて選考を進めていきました。
現在の専門研修と今後のキャリアについて教えてください
関東のB病院で専攻医としてスタート。納得して選んだ環境で専門研修へ
最終的に、B病院の総合診療専門研修プログラムへ進むことができました。現在は総合診療専攻医として、充実した日々を送っています。初期研修2年目7月の時点では、「自分に合う病院など見つかるのだろうか」と不安でした。しかし、複数のプログラムを知り、プロの助言を得たことで、「どこでなら自分が一番成長できるか」という本質的な問いに向き合うことができたのだと思います。
今は、目の前の多様な症例に全力で向かい合い、幅広い診療能力を身につけ、総合診療医としての確固たる基礎を叩き込むことに集中しています。
東北、関東、九州、そして再び関東へ。「すべては地元に還元するため」
将来は、生まれ育った東北へ戻る。その目標は、専攻医となった現在も変わっていません。
九州で初期研修を受け、専門研修では再び関東へ。地元からは遠回りしているように見えるかもしれませんが、私にとっては、東北へ戻ったときに幅広い患者さんを診られる医師になるために必要な過程です。
将来的に病院で働くのか、より地域に密着した診療所で働くのか、具体的な形はこれから考えていきます。ただ、「地域の患者さんが困ったときに、最初に顔を思い浮かべてもらえる医師になりたい」という目標は変わりません。
各地で身につけた経験を、いつか地元・東北の医療へ還元できる総合診療専門医になりたいと思っています。
担当コンサルタントの一言
MEC Stationへご登録をお願いします