
転職を考えた時期ときっかけを教えてください
先輩の消化器内科医の退職で負担が一気に重くなった
転職を意識し始めたのは、36歳になった年の10月でした。もっとも、その時点では「いつかは医局を離れるかもしれない」と考え始めたにすぎません。翌々年3月で退局し、4月に新しい勤務先へ移る。そんな流れを、ぼんやりと思い描き始めた時期でした。
私は初期研修修了後、母校のS大学病院の医局に入り、大学病院本院と医局関連病院の双方で経験を積みました。内科専門医を取得し、その後、消化器病専門医も取得。そうした経験を重ねるなかで、大学病院では消化器内科の中堅として求められる立場になっていきました。
消化器内科医としての診療そのものには、やりがいを感じていました。内視鏡の診断・治療に加え、外来、病棟管理、その後のフォローまで一貫して担いながら、今後もキャリアを重ねていきたいと考えていました。
一方で、年次が上がるにつれて求められる役割も増えていきました。消化器内科病棟の責任医師(病棟医長)、緊急内視鏡を含む時間外対応、初期研修医および専攻医の指導、各委員会等への参加、院内外の業務が重なっていました。加えて、先輩の消化器内科医が立て続けに退職し、ますます負担が増えたのです。そういった環境から、専門性を深めるための時間より、病院を回すための業務に追われる時間のほうが長くなっていました。
医局に残る理由はある。それでも、この先が見えなくなっていた
もちろん、医局で育ててもらった恩義は強く感じていたし、関連病院での勤務も含め、医局人事のなかで経験を積ませてもらった感謝もあります。上の先生方にもよくしていただいたので、簡単に退局という発想にはなりませんでした。
それでも、将来を考えるたびに迷いは深くなっていたのです。なんとなく、医師専門の転職サイトを開いてみても、自分に合う勤務先がどこなのか、何を優先すべきかを落ち着いて整理する余裕がありません。読み進める前に閉じてしまう日が続きました。
大学医局の退局。時期を考えるほど、かえって動けなくなった
転職を意識しながらも、いつ頃から具体的に動き出すべきか、よく分かっていませんでした。なんとなく、医局に所属する医師の転職は、退局準備も含めて1年以上前から準備するのがある種の暗黙の了解という感覚も持っていました。ただ、そう考えたからといって、すぐに動き出せるわけではありません。
自分が抜ければ残る先生方の負担はどうなるのか。教授や医局長に、どのタイミングで、どのように伝えるべきなのか。そうしたことが次々に頭に浮かんだのです。半ば自分への言い訳のように、「まだ急がなくてもよい」と考えていた時期もありました。
「退局準備があるから早くしないと」と頭に焦りはあるのに、準備は進まない。そのもどかしさを抱えたまま、年が明けても、退局の話を切り出せずにいました。
メックステーションを選んだきっかけを教えてください
「ここまで働き方が変わるのか」転職した先輩の話が印象に残る
転職前年の2月のある日、医局関係の外勤で入っていた病院で、先輩の消化器内科医と再会して、転職に向けて一気に動き出します。その先輩医師も以前は私と同じ医局に所属し、忙しい日々を送っていました。ところが、その日の表情や話しぶりは以前と明らかに違っていたのです。
事情をうかがうと、退局後すぐに、別の市中病院に入職していました。転職先の市中病院は、当直が少なく、土日に病院へ出ることもほとんどないとのことでした。消化器内科医として、内視鏡の診断・治療にしっかり関わりながら働けていると聞き、同じようなキャリアを歩んできたはずなのに、ここまで働き方が変わるのかと率直に驚きました。
「よい席は、空いてから探すのでは遅いことがある」と教えられた
その先輩医師に、どうやって今の勤務先にたどり着いたのかを聞きました。
「辞める直前に動いたわけじゃないよ。転職前年の年明けには、その翌年3月で退局したいことを医局に伝えていたし、メックステーションにも希望条件を預けていた。消化器内科にしっかり軸足を置きたいこと、当直を減らしたいこと、転勤がないこと。そういう条件に合う求人が出たら、すぐ動けるようにしていた」と話してくれました。
その話を聞いて、辞め方やタイミングを自分一人で考え続けるより、すでに遅れをとっているかもしれないとも思いつつも、医師転職の専門家に相談したほうがよいと思えたのです。そして4月、メックステーションへ登録しました。
メックステーションのキャリア相談を利用しましたか
本当に退局できるのか——不安を抱えつつ転職活動を開始
キャリア相談は転職前年の4月に行いました。当時、率直に「来年3月で退局するつもりです」と伝えました。するとメックステーションの担当コンサルタントは、相談内容を一つずつ順番に確認しながら、次のように問いかけをしてくれました。
「4月は、来春の退局を見据えて転職活動を始める先生が増える時期です。先生は、退局の目途はどの程度立っていらっしゃいますか」
続けて、「中堅医師の翌年4月入職可の求人は、初夏に増え、夏には応募が増える傾向です。特に公立病院や体制の整った大きな市中病院では、翌年度の人員配置の検討が早い時期から行われるケースもあるので、動き出しは早いに越したことはありません。その夏の時期に次のお勤め先を決め、それから退局の話を切り出す動きで間に合いそうでしょうか」との質問がありました。
退局の件は自身で改めてスケジュール感を確認するとともに、なるべく早い段階で候補先の提示ができるようにと、担当のコンサルタントも必死に動いてくれました。
忙しさの問題と、消化器内科医としての軸を切り分けて考える
退局の話と合わせて、担当コンサルタントから「何が転職理由なのか」「解消したい負担」「逆に大学病院で続けてきたからこそ手放したくないもの」などの条件整理に移りました。他にも、希望の勤務日数や年収、消化器内科にどこまで関わり続けたいのか、医局との関係をどう考えているのかまで、かなり丁寧に聞いてくれました。
私自身、最初は頭の中が整理できていませんでしたが、コンサルタントと話すなかでかなり整理できました。
コンサルタントの話によると、「先生は、単に忙しさから離れたいわけではないのだと思います。消化器内科医として、内視鏡の診断・治療も含めて診療の軸は守りたい。一方で、医局人事であちこち転勤する生活は見直したい。そこを分けて考えたほうがいいと思います」とのことで、その言葉を聞いて、漠然とした不満が、少しずつ整理された感覚がありました。
8月の申し出でも間に合う流れだと整理できた
最後に、コンサルタントは、退局についてもアドバイスしてくれました。
「4月になってから、翌年3月退局の相談を始める先生も、もちろんいらっしゃいます。ただ、退局をいつ申し出るかは、先生ごとに異なる事情、所属するそれぞれの医局のしきたり・ルールもあるので、早ければよいというものでもありません。先生の場合は、できれば6月中には転職候補先からの内定をもらった状態で、そこから退局交渉に入る順番と、スケジュール感で進める形はいかがでしょうか」と提案してくれました。
後日、私と同じ医局から退局した先輩医師にも相談して、「ギリギリのタイミングだけど、そのスケジュールで動いてみるといいかも」とのことだったので、いったんこの流れを軸に動くことにしました。
メックステーションの求人の質や量はいかがでしたか
「消化器内科医としての役割」「症例数」など求人を詳しく説明してくれた
4月後半から5月あたまにかけて、まず6つの求人票をいただきました。いずれも消化器内科の常勤募集、または翌年度に向けて採用の可能性がある施設で、通勤可能な範囲に位置していました。公立病院や規模の大きめの市中病院で、一定の症例数と内視鏡件数が見込めること、当直負担が過度でないことなど、私の希望に沿って選ばれていました。
ただ、メックステーションの担当コンサルタントは、その6つの求人を応募候補として並べたわけではありませんでした。「この病院は、症例数は申し分ないですが、学閥の色がやや見られます」「ここは、当直回数こそ抑えられますが、消化器内科医としての役割が少し広すぎるかもしれません」と、一つずつ求人票にはない実情も教えてくれました。
5月からすぐに応募を開始し、内定が6月中に届いた
実際に応募したのは計4件でした。5月に2件、6月に2件です。見学と面接を自分の都合に合わせてピンポイントで調整してもらい、6月中に1件内定をもらえました。
情報に振り回されることなく、むしろ、エージェントから「次にどこを見ればよいか」が常に共有・整理されていました。
「ここは秋以降だと競合しそうです」
「こちらは別の施設の面接後のご判断でもいいかも知れません」
「この施設は病院見学で現場の空気を確認しておいてもいいかもしれません」
といった助言ももらえました。
応募から転職決定までのサポートはいかがでしたか
応募前から親身にサポートしてもらえた
履歴書の志望動機も、単に「当直を減らしたい」と書くのではなく、消化器内科医として診療の質を維持できる環境を求めていることが伝わるよう、一緒に表現を整えてくれました。面接前にも、退局理由をどう説明すれば角が立たず、しかも本音がぶれないかを確認してもらえたので、落ち着いて臨めたと思います。
私は初期研修から常に母校のS大学病院と医局派遣の病院にいて、面接や応募書類の作成は慣れていません。今までの経験、転職理由、アピールポイントを整理してくれたのは、心強く感じました。
退局交渉に専念できる環境をつくってくれたことに感謝
退局についてもいくつか相談させてもらいました。その際、メックステーションの担当コンサルタントは退局交渉を急かすことなく、医局内での進め方を一つずつ確認してくれました。
一方で内定先へは担当コンサルタントが逐一、こまめに私の退局状況の報告などのフォローを入れてくれていたので、私自身は退局交渉に専念できました。結果として8月の段階で正式に退局の意思を伝えることができ、その後は医局内と派遣先の調整に落ち着いて向き合うことができました。翌年3月に退局を済ませ、4月に新しい勤務先へ入職しました。キャリア相談で方針を固め、条件に合う求人紹介を受け、応募と面接を進めながら退局準備を並行できたことが、最後まで大きな支えになりました。
転職後の満足度はいかがでしょうか
19時台に帰宅できるようになり、家庭での時間が確実に増えた
転職後、いちばん大きな変化は、生活の見通しが立つようになったことでした。以前は帰宅時間が遅かったのですが、今は基本的には19時台に帰宅できています。
当直は月1回まで減り、オンコールも原則ありません。当直明けにそのまま通常勤務や外勤に向かうような働き方から離れられたことで、体力面の余裕も生まれました。
専門性も年収も、どちらかを諦めずに済んだ
転職前は、負担を減らすなら年収か専門性のどちらかは妥協しなければならないと思っていました。しかし実際には、早い段階から準備したことで、両方をある程度守ることができました。
現在の勤務先では、消化器内科医として期待される役割が明確で、内視鏡件数も安定して確保できています。医局時代の経験を、雑務の多さではなく、診療の質で還元できている感覚があります。加えて、転勤の心配がなくなり、生活基盤も安定しました。
相談当初、私は本当にこのスケジュールで退局できるのか不安な時期もありましたが、振り返ると、4月にキャリア相談した判断は正しかったと思います。
担当コンサルタントの一言
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